「はい。そうですね.......歳若く、とても聡明でお美しい御方です。この宮殿において、未だに清いままで御座います。」


「アルツァ!!」


「フフフッ!!清いままとは!!それはなんと!!これから先が楽しみだこと」


「余計な事を.......母上、私はそろそろ失礼致します。アルツァ、行くぞ!」


「ええ」


キルバルは丁寧に御暇の挨拶をすると、早足で退出して行った。


「エルト、キルバルったら、すっかり慌てていたわね?こんな事初めてね.......フフッ」


「はい。まだ、側室として許しを得ては居ないようですが、契りの祭儀を執り行うのも近いかと」


「フフッ.......どうかしら、女子に関して苦労知らずのあの子が、珍しく大分手を焼いている様だから」


「確かにその様でしたね」


この後、暫くロメエルと侍女頭のエルトは、キルバルの思い出話に花を咲かせる事になった。