書物に埋もれる様にして、ソルはまだ古文書の解読に没頭していた。

いくつかの意味を成す記号の様な文字を、漸く判別出来る様になって来ていたが、気づけば次から次へと謎が深まる預言書に、頭を悩ましていた。

今日も気付けば夜遅く迄、この有り様だ。


「ソル様?そろそろお休みになられては如何です?湯浴みもしましたし、そんなに冷やしては体に障りますよ?」


(あっ!またやってしまった!私が早く寝ないとステーシア達も眠る事が出来ないのに.......一旦寝る振りしてから、こっそりまた来るか.......)


心の中でそんな算段をしながら、振り向くとそこにはキルバルが立っていた。


「ソル!良いものを持って来てやったぞ!!湯冷めしたのなら丁度いい」


「キルバル様?」


深夜だと言うのに、やけに意気揚々と登場したキルバルに一瞬、変な違和感を感じる。


「ステーシア、お前は下がってよい。夜も更けたし、ソルは私が寝かしつけておく。杯だけ用意してくれ」


「かしこまりました」


一時、ステーシアが私に意味深な微笑みを投げ掛けて来たけれど、私は頭を傾げるだけで、曖昧に返した。


「キルバル様、今日の解読の成果ですが、やっとこの部分の解読に成功しました。少しお聞かせしますか?どうやらこの預言書はあと4つー」


差し出そうとした紙をサッと取り上げると、キルバルはそのまま机の上に置いた。