“ ソル...........ソル........... ”


温かくて、ふわふわした世界で、私は頻りに誰かに呼ばれていた。

返事を返したいのに、唇が動かない。


“ ソル...........ソル........... ”


ほらまた呼んでる...........貴方は誰なの?

ごめんなさい声が出ないの...........。


「 ソル ..........」


遠くに聞こえていた筈の声が、いきなり耳元で響いて、瞬時に意識が浮上する。

ふわふわした意識の中でゆっくりと目を開けると、見慣れた黄緑の瞳と目が合った。


「キル....バル..様?」


「侍女も付けず、一人で湯に入って眠っては危ないではないか」


「えっ?...........あぁ...はい、すいません。私...いつも見られるのが恥ずかしくて...........」


「そうゆう割には、薄衣さえ纏っておらぬではないか?」


「えっ?キルバル様?!!...何でっ?!!」


我に返り、咄嗟に自分の身体を見ると、裸のままキルバルの膝の上に抱きかかえられている状態だった。

恥ずかしさの余り、体勢も考えず身体を丸めると、勢い良くお湯に滑り落ちた。

軽く溺れかけるソルを、力強い腕が水中から引き上げる。


「ゲホッ!...ゴホッゴホッ!!」


首元に必死にしがみつくと、確りとした腕が支えてくれる。


「落ち着け...........大丈夫だ。私が支えている。」