「アルツァ!この者の部屋を宮殿に用意しろ!」


「御意」


「それから、服を着替えさせろ。神官見習いをこの宮殿に囲って置くわけにはいかぬ。早速、今日の宴から傍に使えさせる」


「かしこまりました」


一方的に言うだけ言うと、キルバルは部屋を出て行ってしまった。


「さて、どうしたものか…」


一番の腹心であろうアルツァは、如何にも頭が良さそうな雰囲気で線が細くツンッとした表情をしていた。

茶色のサラサラした髪の毛を綺麗に束ねて横に編んで垂らしている。

ソルの顔を見るなり途端に辟易した様な顔をして、溜め息をついた。


「私には、お前があの預言書を解読出来るとは思わぬが、キルバル様の命には従わねばならぬ。……ステーシア!」


「はい。アルツァ様」


アルツァの一声で、部屋の奥から優しそうな顔をしたふくよかな女性が出て来た。

優しい笑顔に目尻の皺が、その人の人柄を表しているようで、少し気持ちが緩む。


「今日の宴に、この者を連れて行く。キルバル様の顔に泥を塗らない程度に見繕いなさい。後は任せる」


「はい!かしこまりました」


キルバルに続く様にして、アルツァも部屋から出て行った。


「さぁさぁ、キルバル様と御一緒ならば綺麗にしなくては、まずは湯浴みをしていただきましょう。湯は沸いております。お召し物を脱いでこちらへ」


先程の温和そうな顔と打って変わって、好奇心の入り交じった瞳でこちらを見ている。


「あの、ちょっと…...........!!」


「何を躊躇っておいでです?さぁ、お前達!お手伝いして差し上げて!!」


ステーシアが手を叩くと、次々に奥の部屋から侍女達が現れ、あっとゆう間に服を脱がされた。

体を隠して丸くなっていると、侍女達が色めき立たって騒ぎ始めた。


「ステーシア様!こちらへ!!」


「どうしたと言うの?早く湯殿に案内なさい」


「ですが...........」


「…...........…あら、まぁ!」