いらっしゃいませ


優しい子だね。お前さん。

きっと、彼女さんもそんなお前さんが、
好きだったんだろうて。

彼女さんの気持ちに、応えたかったんだろ?


はい。心の底から。


男性は、顔を上げて、
真っ直ぐに、とわこさんを見つめる。


そういうお前さんの気持ちは、彼女さんにも
伝わってると思うがな。


だからこそ…
お前さんを責めないんだろうよ。
と、微笑むと。


男性が、歯を噛みしめるようにして、
おそらく涙をこらえている。


いいかい?
人を大事に思う気持ちを、愛情と呼ぶ。

ただ、その形には色々あってな。

男と女の場合は…。

その形が、ちゃんと合わないと…
付いにはなれんのだよ。



一瞬、大きく目を開くと。
今度は、ゆっくり目を閉じた。

しばらく、ぎゅっとつぶっていた目を開けて。


とわこさん。
おっしゃりたいことが、よくわかりました。

僕の愛の形と、彼女の愛の形は…
同じじゃなかったって…ことですね。


今のところはな。
お前さんが、大事に思う彼女さんを
体が受け入れなくなるように…

人の心は、ずっと同じではいられないのさ。

ましてや。
恋ってもんは…早いもの順でもないしな。


やっかいじゃろ?
でも、そこがまた…恋のいいところじゃ。

若いうちは、たくさんの愛の形を
知ることじゃな。
と、とわこさんは、ウィンクをした。