容子はあまりに遠くにいて、なかなか距離が縮まりません。

おまけに、まっすぐに続いていると思っていた小道は左右に微妙なカーブを帯びて、先にいるはずのピンクのランドセルは見えたり隠れたりを繰り返します。

やがてその後ろ姿を完全に見失ってしまった頃、私はバラの生垣の入り口に辿り着きました。

生垣は迷路のように入り組んでいて、先が見えません。

ここに来るまでに脇道はいくつもあり、容子がこの中へ入っていったという保証はどこにもありませんでした。

私はしばらく迷い、結局生垣の迷路の中へ歩みを進めることを選びました。

容子を助けるためにここに来たのだということを忘れたわけではありません。

けれど私はもう、自分が正義感や友情だけに突き動かされたのではないと自覚せざるを得ませんでした。

私は「夜の庭園」に興味があったのです。

容子が無邪気な夢物語として語っていた時には何の魅力も感じなかったのにーーー

私は、少女たちの失踪の舞台としての「夜の庭園」に、強い好奇心を抱いていたのです。