それは「影」としか言いようのないものでした。
私の想像の中の「誘拐犯」とよく似た、全身真っ黒でひょろりとしたーーー人間ではないもの。
街灯の光に浮かぶ「影」は、容子と手をつないでいました。
普通ならこの時間には閉まっているはずの正門は、今夜は何故か開いているようでした。
「影」は容子の手を引き、門の中に入っていこうとしています。
その時、容子が初めてこちらを振り返りました。
泣きそうな顔の容子と一瞬目が合いました。
次の瞬間には、二人は校庭の闇の中に消えていました。
校庭の奥からは、花の匂いが濃く香っていました。
私の想像の中の「誘拐犯」とよく似た、全身真っ黒でひょろりとしたーーー人間ではないもの。
街灯の光に浮かぶ「影」は、容子と手をつないでいました。
普通ならこの時間には閉まっているはずの正門は、今夜は何故か開いているようでした。
「影」は容子の手を引き、門の中に入っていこうとしています。
その時、容子が初めてこちらを振り返りました。
泣きそうな顔の容子と一瞬目が合いました。
次の瞬間には、二人は校庭の闇の中に消えていました。
校庭の奥からは、花の匂いが濃く香っていました。



