夜の庭園ー少女たちの消える庭ー

月のない夜でした。

肌寒い秋の闇の中、私は奇妙な胸騒ぎを抱え、容子の背中を追って走り続けました。

このおかしな状況にすくみそうになる足と心を叱咤して、ただひたすら容子を見失うまいとしました。

ピンクのランドセルを追いかけて何度も角を曲がるうちに、さっきから走っているのがいつも自分が通学路として歩いている道だと気付きました。

そのうち、闇の向こうに見慣れた建物の黒いシルエットが見えてきました。

どうやら容子の目的地は小学校のようでした。

学校の正門の両脇には背の高い街灯が取り付けられ、辺りを広く照らし出していました。

その明かりの中に、ピンクのランドセルが浮かび上がって見えました。

容子、と走り寄りかけた私は、けれどそこで足を止めました。

容子の隣には、「影」がいました。