戸惑いながらもベッドを下り、おそるおそる窓辺に歩み寄って、そっと窓の隙間から外を覗きました。

二階にある部屋から寝静まったご近所の景色を見渡し、家の手前の道路を見下ろします。

私は息を飲みました。

暗い道路をポツンと照らす街灯の光の輪の中に、ピンクのランドセルを背負った女の子が立っていました。

後ろ姿ですが、すぐに容子だとわかりました。

一応時計を確認しましたが、すでに小学校が一人で出歩いていいような時間ではありません。

しかも、容子はランドセルを背負っています。

もしかして、夕方に別れたあと家に帰らなかったのでしょうか?

「容子、どうしたの」

私は窓から身を乗り出して容子に呼びかけました。

容子は聞こえないのか、じっと光の輪の中に立ち尽くしたままです。