その日の放課後、私は昇降口で容子と鉢合わせしました。

私は図書委員の当番が終わったところでした。

容子も何か用事があって残っていたのでしょう。

「一緒に帰ろうよ」

私はずいぶん久しぶりに容子にそう声をかけました。

事件があってから一人での登下校時はなるべく避けるようにと言われていたのもありますが、
単純にそろそろ仲直りの頃合いだと思ったからでした。

容子は素直に頷きました。



私たちは紫に変わり始めた空の下を並んで帰路につきました。

容子は私を拒む気配もないかわりに、話しかけてくる気もないようでした。

「あの子、まだ見つからないんだよね」

交差点に立つボランティアのパトロールの人を見て、私は隣の容子にその話題を振ってみました。