「だけど、その噂は広まるのもあっという間だったけど収まるのもあっという間だったそうだよ。
子供たち自身、ほんの少し前まで机を並べて一緒に過ごしていた友達の存在を怪談話という娯楽にしてしまう不謹慎さに気付いていたんだろう」

「その女の子は、そのあとどうなったんですか?」

私の問いに、校長先生は言いづらそうに顔を曇らせました。

「今でも行方不明のままだ。なんの手がかりも掴めなかったそうでね」

今でも、と私は口の中で繰り返しました。

15年たった今でも行方不明のまま。

その言葉は、怪談話なんかよりもずっと不気味な響きを帯びているように思えました。