カクテル紅茶館の事件簿録

「んな気持ち悪い顔で笑ってないで返せよ！

あのボールは俺のだ！大事なボールなんだよ！

さっさと返せ！」

「盗み」の単語には反応を示さなかったヌイが、少年の発した「大事」の単語には表情を変えた。

それは子供のいたずらを諭す母親のようなものだった。

「悪いけどさ、」

そして次はヌイのターン。

一つ一つ言葉の意味が正確に意識させるように噛み締めながら口を開く。