織原先生は恥ずかしげに目を伏せているけれど、ここへ来たことのない生徒、それも全校生徒の名前を覚えてるだなんてかなりすごいことだと思う。
織原先生と話すのはこれが初めてだけど、いまの事実だけで織原先生がいかにわたし達生徒のことを考えてくれているのかが伝わってくる。
そんな織原先生を、私はあっという間に好きになっていた。
織原先生と私はたわいのない会話を交わした。
織原先生は私が悩みもないのにここへ来たことを察しているのか相談の言葉には触れず、ただ学園生活についての会話を振ってくれるだけだった。
「織原先生」
それがあまりにも過ごしやすくて、私はすっかりここへ来た意味を見失っていた。
それでも落ちた陽によって作り出された黄昏の世界にやっと自分の役目を思い出したのだ。


