カクテル紅茶館の事件簿録


最初こそ並んで歩くことに照れを感じはしたけれどそれももうどこ吹く風だ。

男の子と並んで歩くことにも、狭い歩道のせいで普段とは比べものにならに距離感にも、隣から聞こえる声にも、私はすっかり慣れてしまった。

「今日は本当に風が強いね」

ヌイはいまも吹き続けている強い風に髪を遊ばせながら声をかけてきた。

「ヌイ、風邪をひかないように気をつけてね」

「どうしたの?急に?」

「ヌイって見るからにインドアな感じなんだもん。

少し強い風に当たっただけでもすぐに発熱しそうだよ?」

ヌイは街灯の灯りに負けないくらい透き通った色の手で髪を馴らしながら私の心配を笑顔で返す。