カクテル紅茶館の事件簿録


だから届けられなかった。

だって……。

「織原 美和先生。その人は私の学校でカウンセリングをしてくれてる先生だよ」

生徒ならまだしも、先生である以上その教科書を届ければ書かれたいた内容が織原先生の耳にも届いてしまうだろう。

ましてや織原先生はカウンセリング担当だ。

ほんの一部、たった一人だとしてもこんな風に思われてしまうのはあまり好ましいことではないだろう。

そう思うと職員室に届けることができなかった。

「ふーん」

ヌイは私の言葉を聞いているのかいないのか、教科書をパラパラと捲りながら上の空で返事をしている。