「底辺てどう言う意味だよ?
なんで赤の他人にそんなこと言われなきゃならない?
だいたい俺は底辺の人間じゃない」
男の声音は静かだった。
でもそれが逆に苛立ちの大きさを際立たせている。
「どうもなにも、あんたみたいなの人間の底辺じゃん。
学生ならまだしもいい年した大人が仕事もせずに毎日毎日こんな時間からギターなんて弾いちゃってさ。
そんなの底辺以外の何者でもないと思わない?」
その子を連れてきた手前、私はこの先の展開を案じながらヌイに助けを求めようと視線を向ける。
激怒している男。
不機嫌な少女。
不安げな私。


