あいつはカウンターにもたれ掛かって紅茶の香りと味を楽しんでいる。 と思った。 だけど私と目が合ったそいつは呆れたように冷たい視線で一直線にバックヤード、つまりは私を見ていた。 「気を取り直しまして」 私は一つの咳払いをしてカップへと体を向かい合わせる。 ヌワラエリヤは少し冷めてしまってはいるが相変わらずの香りで私を誘ってくる。 「いただきます」 香りに誘われて口に含めば豊かな茶葉の味が味覚を刺激して、やっぱりここの紅茶は最高だとか思ってしまう。