「…っは!そうかよ。俺に言ってどうするんだ。見送りでもしてほしいのかよ。」


俺も母さんと同じように視線を外したまま、見ずに言う。


これが俺のくだらない反抗だ。


俺がどんなに大きな反抗をしても、この二人にはほぼ無意味なのだ。


俺がそう言った瞬間、母さんが持っていた化粧道具が床に落ちた。


カランという音が、リビングに冷たく響く。


あ、これは……怒ったな。


そう16年間のカンが告げた。


「何よ!!ほんっと誰に似たのかしらっ!!」


そう母さんは案の定イライラした口調で言いながら、チラリと父さんを見た。


は?


何言ってんだ、コイツ。


誰に似たのか教えてやろうか、あんたらに似たんだよ。


自分のことを棚にあげて、何をペラペラ喋ってんだよ。


そう真顔で思っていたら、母さんの視線に気づいた父さんが口を開いた。


「大志の教育はお前に任せているだろう。」


だから自分には関係ない。


そういう意味なのだろう。