俺らの本

「決まり!!じゃあ、行きましょう!!」


「どうでもいいけど、俺から離れて歩けよ。」


「え?どういうこと??」


「じゃねーと、保健室行かねーから。」


自分でも何言ってんだとも思うが、それが最善な気がする。


一緒に並んだら、他のヤツらが何を言うかわからない。


そいつは少し考えて、不満げにうなずき、保健室へ向かって歩き出す。


「あの子か~、葵が言ってた子って。」


「そうだよ。……まさか屋上にまで来るとは思わなかった。」


「ごめん、コバさん騒ぎすぎたね。」


「歌ちゃんのせいじゃないよ。でも、あんなムキになる大ちゃん、ボクたち以外で久しぶりに見た。」


「コバさんも久々に見たよ。」


少し離れた場所で二人が話していたことに、俺はもちろん気づくはずがなかった。