だから、俺が知っている情報といったら、これくらいしかないのだ。


ラーメンを食べ終わると、母さんが何かを思い出したように口を開いた。


「大志。私、会社の都合でしばらく海外に行くから。」


まるで業務連絡かのように、いや、一度も俺の顔を見てないんだから独り言のように、折り畳みの鏡を見ながら言っていた。


人に話すときは、相手の顔を見ろって教わらなかったのかよ。


しかも、良いと思って付けてるその香水、キツすぎるんだよ。


……ってな。


俺が何を言ったって、コイツらには無駄なだけだ。


チラリと母さんを見ると、俺が何も喋らなかったからか、一目でわかるほど苛立っていた。


それに嫌気がさし、思わずため息がでる。