俺らの本

「あ?」


俺も反射的に眉間にシワを寄せ、そいつを睨み返す。


「……なんだよ。」


俺は睨んだまま、つかまれていた腕を振り払った。


「なんだよ。…じゃないわよ!!赤信号で渡ろうとして、死ぬ気なの!?」


赤?


前を向くと、いつの間にか横断歩道の前まで来ていて、車が横切っていた。


それで俺の腕をつかんだのか?


「最近の若い人ってどこでも携帯電話使って!歩きスマホって危ないの知ってるでしょ!!」


若い人ってお前もそうだろ。


色々と言いたいことがあるが、それを抑えて無言で立ち上がる。


その時だった。


「…なんだよ、これ。」


ふいに見えたそいつのリュックに付いているキーホルダーが、あまりにも衝撃的だった。