ご飯を食べてお風呂にも入り、ひと段落ついた頃。


私はチケットを眺めながら自分の部屋にいた。


「あんなに友達に協力して貰ってまで手に入らなかったチケットが…ここに…」


嬉しさのあまり部屋を走り回る。


「凄い…!チケット2枚あるから友達誘っちゃお!」


走り回り疲れを感じた辺りでケータイを手に取り友達に連絡する。


『もしもし?瑠梨?どうしたの?』


私は思わず電話を入れてしまった。


『あっ、美結?ねぇ聞いてよ!お母さんから誕生日プレゼントにライブのチケット貰ったの!』

『ほんと??良かったじゃん!凄い行きたがってたもんね』

『ほんと!感謝してもしきれないくらいだよ…!』

『ははっ、良かった良かった』


笑いながら優しい声で話してくれる雪島 美結(ゆきしま みゆ)は、私の数少ない友達であり、共通の好きな物がある仲間でもある。


『それで、本題なんだけど、今回のライブに確か美結の推しもゲストで出るって話だよね?』


推しとは、そのジャンルの中で自分が応援している人のこと。


『あぁ、出る出る。瑠梨の推しの公式アカウントの投稿で、シルエットだけだけど発表されたよね、ウチも別で応募したら良かったって後悔してた』

『なら!一緒に行こうよ!』

『いいの??』

『もちろん!誕生日に美結と一緒に過ごせて、しかもライブにも行ける!最高の日になりそうじゃない!?』

『瑠梨が良いって言うなら喜んでいくよ!誘ってくれてありがとね?』

『良かった!いえいえ!こっちこそ夜遅くに出てくれてありがとう!それじゃおやすみ!』

『うん、おやすみ』