私が感情を失う前は、それはもう明るい性格だった。 みんなに必要とされ、みんなに愛された。 「うちのエース!」 私はそう呼ばれた。 私は陸上競技部に所属していて、100mと走高跳が専門競技だった。 どちらもインターハイで優勝できるほどの実力を持っていて、みんなの話題の中心にいた。 将来は世界で活躍するだろうと自分でも思っていた。 それだけが、私の目標だった。 走れればいい。