あの機嫌の悪い春はどこにもいなくて、私の前にいたのは、ただ楽しそうに笑っている春だった。 「そろそろ氷嚢とるぞ。」 私の腕から袋を取り、水気を取ってから、湿布やら包帯やらを手早く巻いていく。 でもすごく丁寧に、丁寧に、優しく手当してくれた。 雷さんの冷たい手とは真逆で、暖かい、太陽みたいな手で包み込んでくれる。 心地が良くて、私は目を瞑っていた。 でもいつの間にか手当は終わっていたらしく、目を瞑っている私に軽くデコピンをした。 「ほら、終わり。」