ファインダー越しの君へ

塁はぽろぽろと涙を流していた。

信じられない、そんな顔で圭の頭を見下ろす。

そしてかすれた声を搾り出す。


「はい」


手を離した圭は机に体重を預けながら叫んだ。


「あーーーー。緊張したっ」


そうして二人はもう一度手を繋ぎなおし、化学室を後にした。




手を繋ぎながら、校舎を出て行くと、怒った顔をした美映が仁王立ちをしていた。


「私は認めてなんかいないからね」


圭が何か言おうとするのを遮ってさらに続ける。


「あとそのヘアピン、選ぶの手伝ったんだから、大切にしなさいよね!」


それだけ言うと、早足で歩いていってしまった。

圭と塁は顔を見合わせて笑う。


ふたりの春が始まろうとしていた。