ファインダー越しの君へ

「逃げていません。だって、用は終わったから帰るだけです」


塁の目に涙が浮かぶ。


「俺のほうは終わっていない!」


「答えはわかっています。でもききたくないんです。このまま終わらせてください」


「おわってねーよ」


「?!」


圭はゴソゴソと制服のポケットをあさった。


「これ」


圭の手のひらから現れたのは蝶をモチーフにした可愛らしいヘアピン。


「お礼。足りないかもだけど。本当に、感謝しているんだ。塁には」


ぽろりと塁の目から涙がこぼれる。

圭はそっと塁の耳元の髪を取り、ヘアピンを付ける。


「俺も好きだよ。塁」


圭は塁の両手をとり、うつむいて自分の額につける。



「これからも、一緒に居てください。俺だけに、塁の写真を撮らせてください」