「ちょっ、やめてください、私・・・」


塁が手を離そうともがいていると、もう一人の手がばしっと間に割って入った。


「やめろよ。困ってるだろ」


「先輩?」


「宇佐見?」


どうやら二人は知り合いのようだった。


「ほら、行くぞ」


圭は、驚いたままの塁の手を取り歩き出す。


「え?でも、でも・・・・・・」


圭に引っ張られながら歩きつつ、塁は告白してきた男子生徒をふり返りふり返り言った。


「いんだよ。ほっとけ」


何かしらわめいている男子生徒に向かって、塁は叫んだ。


「ごめんなさーい」


走り出した圭につられて塁も足を速めた。

二人は顔を見合わせて、笑った。