着いたのは化学室だった。

無人の室内で待っていたのは、おそらく高価であろうカメラ達。


「オレのこと知らない?」


唐突に宇佐見先輩(?)が言った。


「はい、知りません!」


元気よく塁が答える。

ふーっと息を吐きながら塁のカバンを奪い取り、手近な机に置く。

腰に手を置き、上下に頭を振る。

どうしたものかといった表情だ。


「俺は、宇佐見圭。3年だ。この通り、写真をやっている」


そう言って、高そうなカメラ達に手を置く。


「河彩塁、頼みがある」


およそ頼んでいるとはいえない尊大な雰囲気で圭は続けた。




「モデルになってくれないか」