「そうだな、世界の美しさ、一瞬の美しさを切り取りたいと、思ったからかな」


窓の外を眺めながら先輩はつぶやいた。


「そ、うですか」


塁は思わず赤面した自分に気づき、うつむいた。


(美しいって。別に私のことを言ったわけじゃない。しずまれ、しずまれ)


塁の様子に気づいた圭は笑った。


「塁は、きれいだよ」


(え?は?何て?)


「さー、あと数枚撮ったら今日は終わるかぁ」


うーんと伸びをして、圭はカメラを構えなおした。

混乱する塁をよそに、圭は楽しそうに言葉を紡ぐ。


「塁、写真に興味出てきた?なら、俺の尊敬する写真家さんの写真集、今度持ってくるから見てみろよ。よし、決定な。」


相変わらず強引なところは、最初から変わらない。

でも、だった数日の撮影でも、塁は先輩の色々な面を知ったと思った。

もっと知りたい、この時間を大切にしたい。


先輩に惹かれていくのがわかった。