きっと、これ以上悲しいことは、ないと思う。


そうだわ。
そもそも、身分なんて、いらなかった。

自分の誇っていた身分が仇となるなんて、気が付かなかったんだわ、私、なんという虚けなのでしょう。

お父様は、私を、女御として入内させたいだけ。

それなら、妹姫の若草だって、年頃なのだから、そちらにすれば良かったじゃない!

恋人がいる私を、態々引き裂いて、邸に戻さなくて、良いじゃないのよ!

如何して?
如何してなのよ。