人はどうして愛を求めるんやろか

どうして愛してほしいと思ってしまうんやろか




____________大好きな人からの愛され方




「紫音おはよー!!!」

高校2年の春

いつもと変わらない朝に
いつもと変わらない私を呼ぶ声

「おはよう。
あんたの声響くからうるさいんや
ちょっと下で待っとき」

「えーーーせっかく起こしてあげたのに...」

「余計なお世話や」

幼馴染の葵

生まれた頃からずっと一緒で高校も同じ
隣に住んでるから登下校も一緒や

周りの人らからはすごく仲がいいと思われとるけど
私的にはただの腐れ縁やと思ってる

私的には。

「いやーーーこの大親友の葵ちゃんが迎えに来てやっとんで?
もっとはよ降りてこんかい」

「なーにが大親友や100年早いわ」

こういう何気ない会話が私は大好きや

友達なんて私そんなおらんから、
学校で笑うことすら珍しい

葵とは同じ学校やけど、
階も違うし、
なかなか会えん

だからこの登下校の時間だけが私にとって学校に行く意味で
私服の時間なんや


葵は昔から可愛くて
長い髪をポニーテールにして
バスケを頑張ってる

身長も高い

すごい羨ましい


それに対して私は地味やし
髪もセミロングくらいで眼鏡やし
部活はやめた

背もすごい低くて、まるで親子みたい


でもそんなこと気にしないで
ずっと一緒にいてくれる

なんだかんだいって葵は私にとって
大事なやつなんかもしれん

口には絶対出してやらんけど。



いつもと変わらん桜並木

いつもと変わらんクラスメイト

いつもと変わらんブスな自分

退屈やの、学校っていうのは


そんなことを思いながら
葵と別れた


私はまだクラスの半分の顔も名前も覚えてない

薄情だと思われるかもしれんけど
自分に必要のない人間の名前も顔も覚えたって
一体なんの利益があるん?

そうずっと思っとる

いや
思っとった。


実は私は隠れてバイトをしとる

学校にバレたら即退学

恐る恐る毎日を過ごしてるわけなんやけど...


いつもと変わらんと嘆いとった今日この日が
私の人生を大きく左右する...