一瞬、意味がわからなくて。

見つめ合う形になってしまった。

アキ…。

こちらへ、と言うマスターの前で
どうしてと、怒りをぶつけることもできず。

…黙っていたら。

洋平は、促されるまま隣に座った。


マスターが微笑んでいるのを見たら。

子供のように責める気持ちが、
少しだけ溶けるのを感じた。



人の気持ちを縛ることなんか、
できないものね…。

あたしを、好きじゃなくなっただけ。
それだけ。


意を決して、話しかけた。

みんな、どうした?

…ん。二次会行ったみたいだよ。

行かなかったんだ?


…うん。
お楽しみが、待ってたから。


…!?
カッとして、顔を見ると。


気になってしょうがなくて。
あれ、ウソでしょ?


…ウソじゃないわよ…。

大きな声を出すわけにいかない。
かろうじて冷静さを持っていてよかった。


じゃあ、なんでここにいる?


…あなたには関係ない。


…そうでもない。


は?何言ってんの?

まさか、自分がふった女が新しい恋を
してるのが、気に入らないとか言う?!


…してるの?


なんで、そんなことあんたに言わなきゃ
ならないのよ…。

あたしだって、恋くらいするよ!