「熱中症、何で言わなかったんだよバカ……」 グラウンドから少し外れた木陰は死角で、大騒ぎになって誰かが集まってくる訳でも無く。 ……迷惑かけてごめんね、少し休めば治るだろうけど。 なんて、朦朧とした意識の中で声も出ない。 額に、悠翔の手が触れた。 「……動かないで、しっかり捕まってなよ」 耳元で声がして、フワリと身体が宙に浮いた。 ……お、お姫様抱っこ!? 悠翔にお姫様抱っこして貰ったのって、きっと初めてだよね……。