……君には何でもお見通し、かな。 軈て、離れされた額。 悠翔が一つ息をついて、わたしを立ち上がらせた。 「そんな困った顔しなくても、落ち着くまで待ってるから。」 君の口元が優しく弧を描いて、ほら帰るよ、と促す。 「……うん。ありがと、悠翔。」 ふと窓外を見通すと、満ちた翳の隙から一筋の陽光が差し込んでいた。 ……わたしもう、恋なんてしない。 悠翔さえいれば無敵なんだって、思った。