どういう……事?
「ん……っ!?」
囁いたその唇を、首筋に感じた。
甘く吸い上げられる様なシビれに、反射的に身を攀じる。
……こんなの、初めてだ。
氷室先輩が好きで、好きで、好き。
……だって、わたしがそう言ったはずなのに。
今は心が何故か、貴方を拒んでるんだよ。
「……はは、お前もしかして喜んでんの?もっと声出していーんだよ?」
闇を灯らすその瞳を、素直に見つめ返す事が出来ない。
……こんなの、私が好きだった"氷室 司"じゃない。
「やめ……て…………離して……っ!」
「おいおい、暴れんなって。こんな事してるって、バレたらどうすんだよお前?」
廊下に、部活へ向かう生徒達の楽しげな笑い声が響いた。
先輩の手が、強引に私の口元を塞ぐ。
『その男に何か酷い目に会わされてからじゃ遅いの!』
脳内で反芻された莉兎の助言も……もう遅い。
……ねえ助けてよ、悠翔。
私、やっぱり君がいないと生きていけない。
