その沈黙を、最初に破ったのはわたしで。 「……なん、てね!先輩すっごくモテるから、聴いてくれただけでいいん……」 色素の抜けたサラサラの前髪が、わたしの首元を掠る。 ヘラヘラと笑って背いたわたしを、先輩が抱き締めた。 思いも寄らぬ状況を理解するのに、そう時間はかからない。 「んえ……先輩!ちょっ、どうし……」 「お前……俺の事好きなの?だったら、いいよな。」 ……え? 耳元で囁く発せられた低音に、身体全体がゾクゾクと震え上がった。 氷室先輩、じゃない?