……頑張れ、わたし。 すぅ……と、ゆっくりと息を吸い込んだ。 ガラガラ、と快いドアの開閉音。 「……氷室先輩!」 机に腰掛けて背面黒板を眺めていた先輩が、くるりとこちらを振り返った。 端正な表情がみるみるうちに綻んでいく。 「……待ってたよ、陽咲ちゃん。」 「あっ、あの!」 早く、早く伝えなきゃ。 抑え切れない想いが衝動へと変わり、余計にわたし自身を急かしたんだ。 先輩の正面に回り込んで、気付けばその手を取っていた。