それからの一日は、長いようであっという間だった。
『陽咲ちゃん。』
……わたしの名前を呼ぶ声。
彼との思い出を頭の中に一つ一つ浮かべては、恥ずかしくなって仕舞って。
先輩に出逢ってまだほんの少ししか経ってないし、最初は高嶺の花なんだって知ってた。
けど、今では目先にそのシルエットがぼんやりと浮かんでるような感覚がする。
幼馴染と交わした約束、果たしたい願い。
……先輩が、好きだ。
この想いが、早く通じたらいいのに。
「今日、わたしから言ってしまおうかなあ……」
……無意識的に呟いた言葉が、シンと静まり返った教室に響いた。
「上村、何か言ったかね?それじゃあ、君からこの英文を音読して日本語訳を言いなさい。」
……しまった、声に出てた。
