そろそろ、帰ろうかな……。 フェンスに掛けた指先を、徐々に降ろす。 中学の頃、よくこうして悠翔の部活の帰りを待ったものだ。 『待ってたの?陽咲。……ほら、帰るよ』 そう言って、エナメルバッグを少し右重心に肩に掛けた悠翔が背後から現れるんだったなあ。 ……ふふ、懐かしいな。 「あ、さっきの君みっけ。」 誰かに、意識してた背後を突かれて心臓が跳ねた。 振り返ると…… 「氷室……先輩!」