それから、わたしは先程の余韻を少しずつ、丁寧に引き出しながら先輩のビブスの背番号を目で追った。 熱気が立ちこもるグラウンドとはかけ離れて、少しだけ、肌寒い。 はぁ……と、一つ、溜息を吐いた。 薄橙掛かる空の、そのカラーが刻々と濃くなるに連れて、ギャラリーの人数は一人、また一人と減って行った。 「先輩……好き、だなあ。」 余韻をちょっと大目に引き出してしまうと、忽ちキュッと、心臓が締め付けられる。 恋の副作用。 軈て、気が付いた時には部員達の姿も引いた頃まで時間が経過していた。