「ケガはない!?大丈夫!?」 走って来てくれたのだろう、肩で息をしている彼が私の右手を取り、若干の土っ気が滲んだ両手で包み込む。 ……氷室先輩に、触れている。 触れられている。 「「「キ、キャーーーーーーーー!!!」」」 ギャラリーが一気に湧いたのには間もなかった。 羨ましさ、妬ましさ、怒り狂う者や泣き乱れる者。 個々の想いが重なって、わたしと氷室先輩を照らし上げるスポットライトが炎のように熱く燃える。 「は……はい、大丈夫です……!あの、これっ……ボール……。」