迫りくる衝動。私を襲ってくるような赤い波。季節は夏だがそんなことはどうでもよかった。緋色の景色に酔いしれたのはいつからだっただろう。
 死に何も感じなくなった 。
 むしろ快感を覚えてしまった。
 怯え、逃げまとい、命乞いをする。そんな人たちを何人葬ってきたんのか数えられなかった。いや、数えられる数じゃなかったのだ。
 自分は誰なのか、何なのか。何を好み何を嫌っているのかもわからくなっていた。
 人間の心を持ち、人間の体を持たない私。
 心に体が侵食されていく。
 こんな私にいつからなってしまったのだろうか。
 あれは高二の初夏だったかもしれない。
 あの時私は――