お兄ちゃんはそれだけ言うと
ホットミルクを作ってくれた。
その甘さと優しい匂いに浸っていたが、
一気に現実に引き戻された。
またゆうたから電話がかかってきたのだ。
「出ないのか...?」
お兄ちゃんは言った。
私は昨日のことが衝撃すぎて
鮮明に残って脳裏にこびりついて
離れない感覚に襲われた。
そしていつの間にか過呼吸を
引き起こしていた。
そのときもお兄ちゃんはただ
優しい瞳で私を見つめ、
背中をさすった。
どうして、お兄ちゃんはゆうたが
悪いといわないの?
どうして、お兄ちゃんはそんなに
優しい顔をするの?
どうして、お兄ちゃんは私のことを
めんどくさがらないの?
あぁ、愛されてるってこういうこと
なのか。急に安心してきて過呼吸も
おさまった。
まだ電話のバイブは鳴り響いている。
その電話をお兄ちゃんがいつの間にか
着信拒否していたことを私はそのとき
知らなかった。