"カコン カコン”
という音と共に台上で動くピン球。

私はこの感覚が大好きで卓球部に入った。
これも卓球部に入った理由の一つだが、入る大きなきっかけとなったのは別にある。
それは……



「キャー!!!!」
と、大きな歓声と共に入ってきたのは私の憧れの先輩・佐原 悠吾 先輩だ。
卓球部 という、あまり人気のない部活にもかかわらず、ファンクラブまであるらしい。
さすが先輩だ…

でも私は恋愛感情として好きな訳では無い。
憧れとして大好きなのだ。

キャプテンである佐原先輩は、卓球部を引っ張っていってくれている。
本当に尊敬できる。



「集合!」と、顧問の谷岡先生が声を出す。

駆け足で先生の元へ行く。

今回の話の話題は、次の試合メンバーについてだ。
「佐原、中里、杉原…」
次々に発表される。

1年生だし、さすがに私は入らないか…、と思っているのも束の間。

「1年生からは廣瀬雫。」

え…?廣瀬雫って…私だよね?



その日の部活の帰りは嬉しくてスキップをしながら帰った。

「ご機嫌だな〜雫。」

「!佐原先輩!!!」

「お前ん家、△△公園の近くだろ?俺も近くなんだよな。」

「そ、そうなんですか!!」

嘘、試合にも選ばれたし先輩と一緒に帰れるし、良いことだらけだ…!

先輩と一緒に帰った時間はいつもより早く過ぎていった。