時間も時間で、家の近くまで送ると亮ちゃんが言った。

「・・・今日は悪かったな。明里に用事があると話したら、会わせろと言われたんだ」

 真下社長のことを謝られて首を振る。それから小さく笑んで見せた。

「緊張はしたけど別に嫌じゃなかったし。・・・ちょっと強引かなってくらいで」

「そうやってここまで組織を引っ張って来た人だからな・・・」

 ああ亮ちゃんは社長をすごく敬愛してるんだなって。そんな響きだった。

「亮ちゃんは真下社長とはどうやって知り合ったの? グランド・グローバルを始める前から?」

「・・・ああ。色々と世話になった恩人だ」

「そうなんだ。良かったね、そんな人と一緒に仕事ができて」

「そうだな。・・・・・・俺は一生あの人に付いていくと決めてる」

「亮ちゃんは昔から何でも出来るし、社長も頼りにしてるって思うな」

 亮ちゃんのその意思が生き甲斐を見つけたように聴こえて、何だか自分のことみたいに嬉しくなった。
 
「一社員として亮ちゃんの力になれるように、わたしも頑張るね!」

「気持ちだけ貰っておく。明里のうっかりは良く知ってるからな」

 クスリと笑った気配。

 再会してからやっと。亮ちゃんと自然に話せてる。
 ココロの中がほわんとなって、切なくて。・・・泣きそうだった。