一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~

食器をキッチンに片づけてから、社長が座るソファーへ向かう。

社長の隣に、くっつかないように座るつもりだったけれど、
手を引かれ、腰を抱えらえ
バランスを崩した私は、気づいたらソファーに座らされていた。

社長の両足の間に挟まれて、後ろから肩を抱かれる、
社長の吐息が、首に感じられてくすぐったいけれど、
ここで反応して火をつけるわけにはいかないので、ぐっと体に力を入れる。

「そんなに緊張しなくていいよ。何もしないから。」

社長が笑いながら言うけれど、
耳に直接響く声は艶があって、油断すると私の心も溶かされてしまいそうだ。

「本を出して以来、出版業界にも付き合いが出来たんだ。」

「そうなんですね。」

まだ社長の声は熱を含んだままだけれど、本の話題なので、私は少し落ち着くことができた。
本が好きな私のことを気遣ってた、よく本の話をしているから。

「とある文学賞の、特別審査員のオファーが来ているんだ。」

「すごーい!
でも審査員なら、全部の作品を読まなきゃいけないんですか?
お忙しいのに・・・・。」

未発表の作品を読めるなんて、羨ましいけれど。

「いや、全部ではない。
最終候補に残った作品だけだ。
それでも11作あるけど。」

社長の苦笑いが、耳に響く。