一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~

「彼女は佐々木さん。豊沢社長の部屋にお通ししてくださるかしら。」

「かしこまりました。」

2人いるコンシェルジュの前で立ち止まり、私を紹介する石田さんに
慌てて頭を下げた。
そしてそのままエレベーターに向かう。

彼らもプロだから、無粋なことは聞かないのだろうけれど、
値踏みするような視線を背中に感じた。

社長と結婚するとなると、常にあんな視線を浴びることになるんだろう。
耐えられる気がしない。
周りの人たちは、社長の隣に立つ女性はもっと華があって聡明なタイプを期待するだろう。

エレベーターは最上階に到着して、社長の部屋へ。

店長に背中を押されて前向きになっていた気分がまた落ち込んでくる。
でももう社長の家まで来てしまったし、今から帰るのもおかしな話だ。

おかしな話と言えば・・・
社長の家で、年齢の近い女性2人。
これから、何をすればいいんだろう・・・。

「社長は、何時頃にお戻りになるんですか?」

「遅くても9時には戻るはずよ。」

今は8時を少し過ぎている。
それまでできることと言えば・・・。