一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~

私の涙に気づいたらしい社長は、私の唇を開放して、
私を見下ろした。

手で涙を拭い、社長を見上げると

私の体に溜まった熱が一気に冷えて行きそうなくらい
冷たい瞳で見下ろされていた。

「ひどい・・・」

あんなに優しいキスをしておきながら
この、冷酷な目はなに?

彬くんを思い出させるような、愛おしさを伝えてくれるようなキスによって
目覚めつつあった、想いは
この氷のような瞳で瞬時に砕けてしまった。

「部屋まで送るよ。」

社長は私に背を向けて歩き出した。

「そんなことしてもらわなくて結構です!」

もう遅い時間だから声は抑えたけど、
私の拒絶は伝わっているはずなのに
気にする様子もない。


社長がここへ来たのは11年前のあの時、一度きり。
防犯もかねて表札だって出していないのに、
部屋の場所も覚えていた。

部屋のドアの前で社長と向き合った。