一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~

私のアパートの前で車は静かに止まる。

住宅街にひっそりと佇む、相変わらずのボロアパート。

大企業の社長に車で送ってもらうという、心がときめきそうなシチュエーションに、
これほど似合わない家もないだろうな。

社長も、石川さんも、
まるで高級マンションに送りに来たかのような優雅さで、
社長はまた、私の側のドアを開け、手を差し出してくれた。

「ありがとうございました。
でも、私やっぱり、社長とは―」

お付き合いできません、と言いかけた唇は
社長の唇によって塞がれていた。

話している途中、開いていた私の唇は
あっさりと、社長の舌の進入を許してしまう。

私の頭は、社長の手で支えられ
逃げ場はない。

私が断ろうとしてるのがわかっててキスするなんて
どう考えても強引で、怒ってもいいはずなのに。

社長のキスが、あまりにも優しくって
温かくって

紛れもなく、彬くんのキスだった。

やめて欲しいので
離れたくなくて

深入りしたくないのに
もっとして欲しくて。

この数時間、ただでさえ混乱していた頭は完全に限界。

涙が溢れてきた。
どうしてなのかは自分でもわからない。