一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~

「ねぇ、聞いてもいい?」

「ん?なに?」

香りに癒される、ヒノキ風呂。
彬くんの背中にもたれて、2人でお湯に浸かる。

情事で心は満たされているけれど、身体は疲れ切っている私たち。
こうしてくっついていても、またここで更に行為が交わされるなんてことは先ずないだろうな。

このヒノキ風呂も、私が高校時代に一言漏らした、
ヒノキの入浴剤が好き!なんて言葉に応じて作ったそうだ。
ピュアな心を持つ金持ちがやることは恐ろしい。
きっとまだ、私が気づいてないだけで、こういった心づかいが
随所にあしらわれてるんだろう。

「11年前ね、最後に会った後・・・
彬くんの携帯に連絡しても繋がらなかったの、なんでかな、って。」

「あぁ・・・・あの時は本当にごめんね。
あの後すぐに母が亡くなって、父に、君に会うことを禁じられた。」

「え、お母さん、亡くなってるの!?」

「うん、それは本にも書いて・・・
読んでないんだったね、さぁーちゃんは。」

後ろから、頬っぺをつねられる。

「ほへんなさい。」

「いいよ。」

彬くんがふっと笑ったのが、吐息でわかる。